1. 紅乙女酒造(福岡)|ごま焼酎「紅乙女 STANDARD 江口寿史バージョン」

  2. 若潮酒造(鹿児島県)|芋焼酎「さつま黒若潮」

  3. 木内醸造(長野県)|米焼酎「天雪オールド 35度」

  4. 今帰仁酒造(沖縄県)| 泡盛「千年の響 43度」

  5. 恒松酒造(熊本県)| 本格芋焼酎「EXTRA TESSHO」

  6. 平孝酒造|本格粕取り焼酎「日高見(ひたかみ)」

  7. 弥彦酒造|本格さなぶり焼酎「優凪(ゆうなぎ)」

  8. 神川酒造|本格芋焼酎「瀞とろ」

  9. 八海醸造|八海山本格粕取り焼酎「宜有千萬」

  10. 白露酒造|本格芋焼酎「麻友子 Pure Black」

  11. 新平酒造|本格芋焼酎「大金の露」

  12. 薩摩酒造|本格芋焼酎「さつま白波」

  1. 飲めるお店紹介

  2. 蕎麦

  3. 居酒屋

  4. Bar

  5. 寿司・刺身

  6. 焼肉

  7. 日本料理

  8. 焼き鳥

  9. すき焼き

本格焼酎・泡盛の楽しみ方

苦難によって強まった球磨焼酎蔵の絆/繊月酒造 堤純子さんインタビュー

繊月酒造株式会社 代表取締役社長 堤純子氏

■日本を代表する本格焼酎ブランド「球磨焼酎」がもつ歴史的魅力

球磨焼酎の魅力は、米どころの人吉球磨地区で生まれた歴史ある米焼酎ということです。全国には色々な米焼酎はありますが、海外から蒸留技術が伝わって日本で焼酎が造られるようになった時、まず日本人は自分たちの馴染みのある米を原料にして焼酎を製造しました。人吉球磨地域ではその頃から造られていて、今では世界貿易機関(WTO)から「地理的表示の産地」として認められた日本を代表する米焼酎ブランドです。

球磨焼酎の産地である人吉球磨地区は九州山系の山々に囲まれた盆地です。球磨川の豊富な水と盆地特有の寒暖差が厳しい気候によって良質な米が育ちます。球磨焼酎は酒質の良さからこの地を治めていた相良藩主への献上品にもなっていて、東南アジアや大陸との貿易用にも使用されていた歴史的背景があります。

■米焼酎ならではの楽しみ方とは

米焼酎はバリエーションが豊富なお酒です。原料は米と水しか使っていないのに、すっきりとした味わいのものからクセの強いものまであります。さらに、その年にできた新酒として楽しむことも、長期貯蔵させることによって楽しむこともできます。弊社にも40年古酒が存在しますが、甕貯蔵・樽貯蔵など貯蔵方法によって甘みや香りの付き方が変わるおもしろさも持っています。

皆さんにはぜひ米本来が持つ味わいを、様々な方法で楽しんでほしいと思います。例えば同じ蒸留酒にあたるウィスキーは年月をかけて貯蔵させることで深みが生まれ価値が高まるお酒ですが、米焼酎は蒸留したての新酒を味わうことも長期貯蔵酒を味わうこともでき、両方の価値を楽しめます。

本格焼酎に馴染みのない方には、蒸留方法の違うタイプを飲み比べてほしいですね。すっきりと飲める減圧蒸留とふくよかさを感じられる常圧蒸留です。米という同じ原料に対して、蒸留方法で口当たりや味わいが変わるのでわかりやすいと思います。

このように日本人の主食である米が、お酒として生み出された時の味わいの変化を皆さんに楽しんでほしいですね。その表現方法は酒造蔵によっても個性が表れるので、日本における球磨焼酎の歴史を感じながら色々と飲み比べてもらえたらと思っています。

■球磨焼酎蔵を襲った「令和2年7月豪雨」

「令和2年7月豪雨」の球磨川氾濫によって、球磨焼酎27蔵のうち4蔵が大きな被害を受けました。壊滅的と新聞やテレビでも報道された3蔵は焼酎を貯蔵するタンクも倒れて、代々受け継がれてきた製造設備や麹室まで被害が出てしまいました。これからも酒造りができるのか見通しが立たない状態に陥っています。

4番目に被害が大きかったのが弊社でした。倉庫が80㎝ほど浸水になり、出荷を予定していた商品がだめになりました。泥水によって充填ラインやポンプ、ボイラー部分は不具合を起こし、廃車になった車両もあったほど。瓶詰めの機械にも泥が入ってしまって、ほぼ買い替えないといけなくなりました。

かろうじて2階にあった蒸留機や麹室、研究室は大きな被害を受けることはなかったのですべて消毒をして1か月くらいで復旧の見通しが立ちました。当初は手作業で瓶詰めし商品ラベルも手貼りで対応していましたが10月頃から何とか出荷体制が整うようになりました。

■苦難によって強まった球磨焼酎蔵の絆。再生へ向かう道

コロナ禍のためボランティアの受け入れが限られていたこともあって、被災した自分たちで何とかとしなければいけない状況でした。今でもまだ先が見通せない現実に直面することもありますが、今回の豪雨被害がきっかけで球磨焼酎組合の仲間たちの結束は今まで以上に強まりました。4番目に被害が大きかったうちの蔵にも他の球磨焼酎蔵の人たちがボランティアに来てくれるなど、27蔵すべてが復興できるようにと内部の助け合いがありました。

現在では「地域の蔵を1つも絶やさないように」という強い思いから、球磨焼酎蔵が協力して「HITOYOSHI KUMA Reborn」という共通ラベルで復興支援商品を発売しています。「Reborn」(リボーン)とは再生という意味です。豪雨災害からの復活の願いを込めて、球磨焼酎27蔵が支え合い、一丸となって今できることに向かって取り組んでいます。

■本格焼酎のこれから。球磨焼酎のこれから

今回の被害によって、私自身も幼い頃から過ごしてきた地元を今まで以上に大切に思うようになりました。私は4人きょうだいで兄もいるため家業を継ぐプレッシャーがなく育ちましたが、今のところ私だけが酒造業界に関わっています。福岡の広告代理店に勤めていた2002年にちょうど弊社の福岡営業本部ができ、土地勘もある私が役に立つことがあればと思って転職したのがきっかけです。酒造業界では女性が社長になることも、娘が跡を継ぐことも珍しい時代でしたが、父が柔軟な考え方の持ち主だったこともあって2016年1月に代替わりをしました。

今は一般的にも女性の管理職者が多くなってきている時代ですし、酒造業界でも女性杜氏や女性社員の活躍も増えてきました。本格焼酎の世界でももっと女性の活躍の場が増えてくると思いますので、少しでも良い事例になれるように頑張りたいと考えています。

球磨焼酎に関しては、蔵元も世代交代が行われていて、これからの時代に適応していく新たな視点や柔軟な考え方を持った人たちが活躍してきています。みんなの力を結集させて、豪雨被害に負けずに球磨焼酎ブランドを浸透させていきたいですね。その一つとして、世界的にも認められた日本ブランドとして、球磨焼酎の海外展開に向けた準備も進んでいます。逆境から前進する私たち球磨焼酎の蔵元、そして球磨焼酎の“これから”を皆さんにも感じながら味わっていただけたらと思います。

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焼酎スタイリストyukiko
yukiko(ユキコ)/焼酎スタイリスト®、ファッションスタイリスト 色彩総合プロデュース「スタイルプロモーション」代表、販促アドバイザー、色彩講師、中小企業庁ミラサポ専門家派遣 登録専門家(販促色彩・ブランド構築・伝統文化および地域文化産業販促支援専門)。 株式会社永谷園を経て、色彩を戦略的に用いるファッションスタイリストに転身。衣食住イベントやCM、ファッション誌に数多く携わる。ブランド構築・ビジュアル戦略の講師として講演や企業研修も多数、受講生は12,000人を超える。現在は大学の非常勤講師として教育分野にも力を注ぐ。 蔵元や酒販店・飲食店の信頼も厚く「焼酎スタイリスト」として日本のお酒「國酒」を“時流”に合わせてオシャレに発信。トレンドや美容情報に精通し、ファッション誌やビューティー誌にも登場。現代女性に向けた訴求力、生産者と生活者をつなぐ販促支援や企業アドバイスに定評がある。「蔵元公認 焼酎アンバサダー」「焼酎ナビゲーター」「泡盛スタイリスト」を務め、全国で講演やイベントのプロデュース・國酒監修・料理監修も手掛ける。2020年度日本酒造組合中央会「本格焼酎と泡盛」国内PR事業のサポートを担当するメンバーでもある。東京発の焼酎・泡盛ウェブマガジン「焼酎&泡盛スタイル」クリエイティブディレクター。

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