■この時期に楽しみたい!球磨焼酎のポイント
焼酎スタイリスト® yukikoです。2020年7月4日に発生した熊本豪雨で熊本県南部に位置する人吉球磨地方の特産品でもある「球磨焼酎」を製造する蔵元にも大きな被害が出ています。今回は球磨焼酎と蔵元や販売店など熊本県の皆さんを応援する意味でも、この時期におすすめの球磨焼酎のポイントをご紹介します。
熊本県の人吉を中心とする球磨地方で造られている「球磨焼酎」は、WTO(世界貿易機関)によって世界的に地理的表示が認められたブランドです。米のみを原料にして、この地域で仕込んだもろみと水を使い、蒸留、瓶詰めまで行ったものだけを「球磨焼酎」と呼びます。限定された産地で育まれ、全国にも多くの愛飲家をもつ米焼酎が「球磨焼酎」です。2020年現在は27蔵によって造られています。
球磨焼酎は米を原料にして造られていて、私たち日本人にとってはとても身近な素材からできているお酒です。そのため、開栓した時やグラスに注がれた時に、ぜひとも米から生まれた優しい香りを感じていただきたいですね。
さらに、焼酎は日本人の食文化の中で食中酒として根付いています。球磨焼酎に関しては室町時代から焼酎造りが始まったといわれています。まだ球磨焼酎を飲んだことがないという方も、日本人の主食である米(ご飯)を食べる時のような身近な感覚で球磨焼酎を手に取って飲んでみてください。次の項目では、焼酎スタイリストyukikoおすすめの楽しみ方を紹介します。
■「球磨焼酎のおいしいコーディネート」
本格焼酎はお湯割り、水割り、ロック、炭酸割りなど様々な飲み方ができるお酒です。基本は飲み手である皆さんの好みで飲んでいただければと思いますが、私は“スタイリスト”として常にお酒と食事の「おいしいコーディネート」にこだわって楽しみたいと考えています。
クオリティの高いコーディネートと出会った時に幸せを感じますし、造り手や関わる皆さんに感謝の気持ちでいっぱいになります。そのような本格焼酎・泡盛との出会いは日々SNSなどでも取り上げていてフォロワーの皆さんと交流をしています。今回はその中で出会った球磨焼酎にまつわるおすすめを紹介します。
《おいしいコーディネート:球磨焼酎編①》
まずは、鮎のカルパッチョと球磨焼酎の「おいしいコーディネート」です。人吉球磨地方でも今の時期は鮎が獲れます。地元の方々は鮎を塩焼きにして球磨焼酎と一緒に楽しむことも多いそう。今回私は東京都内のバルで鮎のカルパッチョを堪能することができました。
大きなお皿にはきれいに盛られた生と炙りの2種、さらに鮎の骨せんべいが。この炙りに合わせて選んだのが米焼酎です。炙った時に出てくる鮎独特の脂の甘さ、繊細な香ばしさをじっくり味わうために、今回は米焼酎の中でも無濾過のタイプをセレクト。炙りの良さをしっかりと支えくれる存在になり、安定感のあるとてもおいしいバランスを楽しめました。
鮎以外の川魚や光物の魚などとコーディネートをするのもおすすめです。水割りやロックでキリっと飲むのも、暑い夏においしい1杯になります。
《おいしいコーディネート:球磨焼酎編②》
次は、暑い日やバーベキューにおすすめの「おいしいコーディネート」です。私が以前熊本県を取材した時のこと……猛暑のなか、取材を行っていたら偶然にも熊本城近くの公園で球磨焼酎イベントを見かけました。昼休憩をかねて私が選んだのは米焼酎の中でも減圧蒸留で造られた口当たりがすっきりしたタイプのもの。炭酸で割って、さらにレモンスライスを入れてもらい、さわやかに仕上げました。強い日差しと蒸し暑さのなか、歩き回っていてバテそうになっていた気持ちを一気に吹き飛ばしてくれるかのようにスカッとおいしい1杯でした。
この1杯とコーディネートしたのが、鉄板で豪快に作られていたソース焼きそば。スッキリしたタイプの米焼酎ハイボールと焼きそばは、ぜひ皆さんにも暑い夏の時期に一度味わってほしい「おいしいコーディネート」。バーベキューにも活用できます。私は今でも照り返すような暑い日には、熊本取材時の猛暑とあの時のスッキリさわやかな感覚を思い出すほど、とてもおいしかった1杯です。
■球磨焼酎を応援!日本のブランド「球磨焼酎」を見つけるコツ
現在、球磨焼酎は首都圏のスーパーでも手に入りやすい銘柄も出てきています。熊本県の人吉球磨地方で造られる「球磨焼酎」を店頭で見つけるコツは、商品ラベルについているこのマークが目印です。
今回の水害で人吉球磨地方は大きな被害を受けています。球磨焼酎蔵も同様で、全27蔵のうち3蔵が壊滅的な状態になっています。各所で床上浸水、床下浸水など大小の被害があり、今までに経験したことのない現実に直面しながらも球磨焼酎の蔵元はそれぞれ協力し合って復旧にむけて作業をしているそうです。
日本酒造組合中央会の委員でもあり、球磨焼酎を製造する蔵元 豊永史郎さんは「球磨焼酎蔵は今回の水害によって深刻な状況になっていますが、今はとにかく自分たちができることを頑張っています。これからも全国の皆さんに、この地域で育った球磨焼酎を楽しんでいただきたい……この思いが今復旧作業を行っている自分たちの励みになっています。球磨焼酎と呼ばれる米焼酎は雑味もなくクリアで飲みやすいお酒です。ぜひ皆さんに家飲みなどにも活用してほしいです」と、今回現地からメッセージをくださいました。
500年の歴史を持つ球磨焼酎。私たち日本人にもなじみ深い「米」を用いて造られ、世界的にも認められている米焼酎です。今年の夏は「球磨焼酎」のおいしさを一人でも多くの方に味わっていただけたらと思います。
[写真協力]色彩総合プロデュース「スタイル プロモーション」
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