昨今、現代人の体温低下に警鐘が鳴らされ、体を温める健康法が提唱されています。そこで今回は、漢方医学の考え方や自然療法・食事療法を重視した視点から治療を実践している石原新菜(いしはら にいな)医師に、本格焼酎・泡盛の健康効果を伺いました。
体の「冷え」は万病のもと?
車や電車での移動、長時間パソコンに向かうオフィスワークなど、私たちの暮らしは慢性的な運動不足のリスクを含んでいます。また、湯船に入らずシャワーで済ませる生活習慣や、さまざまなストレスにさらされることで「戦いのホルモン」と呼ばれるアドレナリンの分泌が促されます。これにより血圧を上げ血管が縮み、体が冷えてしまう恐れがあります。体の冷えはさまざまな体の不調につながっています。
体温が1℃下がると、代謝が12%低下し、食べ過ぎでなくても高血糖・高脂血になりやすく、太りやすく、むくみやすくなります。また、免疫力も3割低下し、病気にかかりやすくなります。診察していると体温が35℃台と低い方が多く、本来は体温の高めなはずの子どもたちにも、低体温の子が増えている傾向が見受けられます。体温35℃台は、低酸素・低温の環境を好むがん細胞が最も増殖しやすい温度です。体温を36℃以上に保つことが大切です。
夏は特にアイスクリームなど体を冷やす食品の摂取、コーヒーや清涼飲料水などの水分の取り過ぎなど、体を冷やす条件がそろっています。また、過度の減塩も、体を冷やしてしまいます。塩分不足は新陳代謝を低下させ、筋肉の働きを弱めてしまいます。
血液循環を重んじる東洋の養生法
東洋医学では「万病一元血液の汚れから生ずる」と言い、血液の状態や循環を重要視します。
体が冷えると血流が悪くなり、水分の代謝も低下し、余分な水分が体にたまり、さらに体を冷やす「水毒」という状態になると東洋医学では考えます。水毒では、肩こりや頭痛、めまい、耳鳴り、不安、不眠などさまざまな症状が現れます。これらは西洋医学では原因不明とされ「不定愁訴」と言われる症状に分類されますが、東洋医学で言う水毒が原因ということが多いのです。
血液が滞りなく流れることで、エネルギー源(糖分や脂肪など)や栄養素、酸素、白血球、免疫物質、水分などが全身の細胞に供給されます。そうすると臓器の働きが良くなり、老廃物の排せつを促し、きれいな血液の状態が維持されて、免疫力を上げてくれることが期待できます。
本格焼酎・泡盛は健康力アップのお酒
血流が良い、免疫力の高い体を保つために、心掛けてほしいことが2つあります。
第一に心掛けてほしいのが「運動」です。熱の4割は筋肉で作られます。筋力をつけることで全身の血流が増え、体温を高めることができます。
第二に「バランスよく栄養を取る食生活」です。体の内と外から健康的になれるライフスタイルを目指しましょう。
お酒を上手に取り入れることも大切です。本格焼酎・泡盛には、香りによるリラックス効果と、アルコールを摂取することで血流を良くして体温を高める相乗効果が期待できます。糖質も含んでいないので、健康・美容・ダイエットに関心がある方にもおすすめできます。焼酎独特の飲み方、お湯割りで温かくしていただくのも、良い飲み方ですね。
漢方には「陰性食品」「陽性食品」という考え方があります。カロリーが同程度でも、陰性食品は体を冷やし、陽性食品は体を温める作用があります。陽性食品である芋や黒砂糖を原料にした芋焼酎や黒糖焼酎を飲むと、体が温まってリラックスすることを実感します。寝る前に少量だけいただくと寝つきが良くなるので、おすすめします。
焼酎・泡盛の香りも健康に良い?
血液中に飲酒によって取り込まれた香気成分によるt-PAやu-PAの活性効果に加え、本格焼酎・泡盛の良い香りそのものによるリラックス効果にも、血栓症の予防効果があります。人はストレスが高まると、戦闘に備えて血が固まりやすくなりますが、心地よく感じる香りは、ストレスを低減させて血液の流れを良くしてくれます。ぜひ好みの香りの本格焼酎や泡盛を日々の暮らしに取り入れてリラックスしてください。
石原先生おすすめ!陽性食品と陰性食品の合わせ方
お酒のさかなにも陽性食品の食材を選んで、ぜひ健康的に本格焼酎・泡盛を楽しんでください。
夏野菜は「体を冷やす」と言われる陰性食品に分類されるものが多いですが、生食を避けて加熱調理したり、塩や発酵食品と合わせたりといった少しの工夫で陽性食品に近づけることができます。昔から「スイカに塩をかける」「夏野菜の素揚げ」「ナスにショウガ」「きゅうりにみそ」など、夏野菜のおいしい食べ方が伝えられてきましたが、それらは理にかなった取り方だったのです。
陽性食品・陰性食品の特徴
陽性食品:色が濃く塩気が強い。寒い気候の地が原産地。
陰性食品:色が薄い。暑い気候の地が原産地。
陰性食品と合わせたい調味料
みそ:アミノ酸をバランスよく含む陽性の発酵商品。陰性食品をみそ汁やみそ煮込みに。
しょうゆ:陰性食品の加熱調理に。陽性食品のしょうゆを加えると温め効果がプラスされます。
天然塩:ミネラルが豊富。夏野菜を塩もみにすると体を冷やす効果を軽減します。
七味唐辛子・ペッパーソース:辛味成分が体をポカポカとさせてくれます。
シナモン:コーヒーに加えると体を冷やす影響軽減。紅茶に加えると温め効果が倍増します。
プロフィール
石原 新菜(いしはら にいな)氏
長崎市生まれ。医師。小学2年生までスイスで過ごす。帝京大学大学院医学研究科卒業。
医学生時代からメキシコ・ゲルソン病院、ミュンヘン市民病院、英国ブリストン・キャンサー・ヘルプセンターなどで自然医学を学び、現在イシハラクリニック副院長。『病気にならない蒸しショウガ健康法』(アスコム)、『「体を温める」と子どもは病気にならない』(PHP研究所)など著書多数。
出典 本格焼酎&泡盛プレス2016年8月号No.116
日本酒造組合中央会
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