焼酎のボトルに大きく書いてある「黒」「白」「黄」などの色の名前、気になったことはありませんか?しかしその色がなにを意味するか知らずに、「何となく本格的っぽいな」とイメージだけで商品を選んでいる方も多いかも知れませんね。そこで今回は、焼酎選びをますます楽しくする「麹」についてご紹介します。
聞いたことはあるけれど…「麹」ってなに?
味噌やぬか漬け、チーズにヨーグルト・日本酒やワインなどのおなじみの食品は、カビや酵母、細菌などの微生物の力で発酵させて出来上がる「発酵食品」です。麹はその微生物のひとつ。そして麹は焼酎を作る過程でも非常に重要な役割を果たしています。
麹は健康サポートの味方
麹には、健康に良いとされる酵素がたっぷり含まれています。なんとその数は30種類以上!麹に含まれる酵素は消化を助けてくれたり、ビタミン類を作り出してくれたりと、私たちの健康をサポートしてくれています。
また麹の酵素から作られるオリゴ糖は、腸内で乳酸菌などの善玉菌を増やす働きもしています。焼酎に欠かせない麹には、実は素晴らしい力があるのです。
麹のもとは「コウジカビ」
コウジカビは自然界に広く存在するカビのひとつで、米や麦などの穀類の中のデンプンを「糖分に変える(糖化させる)」力を持っています。
この「糖化」が芋焼酎作りの大きなポイントです。焼酎の原料となる芋の主成分はデンプン。芋に糖分はほとんど含まれないため、麹の働きがそのデンプンを糖に変え、焼酎の発酵を進めてくれるのです。
焼酎の黒・白・黄、それぞれの麹について
焼酎に使われる麹には「黒麹」「白麹」「黄麹」の3種類があります。これは「分生子(胞子)」の色による分類で、どの麹が使われているかによって焼酎の味わいも変わります。それではそれぞれの麹の特徴を見ていきましょう。
黒麹はどっしり系
かつて全ての焼酎は「黒麹」を使っていた、とも言われる代表的な麹です。発祥は沖縄と言われており、文字通り色も真っ黒で、黒麹を触ると手が黒くなってしまうほど。また麹の中でもクエン酸を多く含むため雑菌の繁殖を抑えることができ、高温多湿な沖縄・九州南方での焼酎作りには欠かせない麹です。
黒麹を使った芋焼酎の特徴は「どっしりした重ための味わい」。芋由来の重厚で力強いコクがあり、濃い目の芋焼酎が仕上がります。また辛口のものが多いのは、クエン酸の酸味に由来していると言われています。
また沖縄で作られる泡盛には、必ず黒麹が使われています。
白麹はマイルドな風味
白麹は、黒麹を使っている過程に突然変異で生まれた菌を活用しています。菌が生きている証拠ですね。発祥は大正時代の九州と言われており、現在でも九州地方では白麹を使った焼酎作りが盛んです。
白麹は黒麹と同じくらいパワフルな麹なのですが、スッキリでシャープ、黒麹よりもややマイルドで軽快な飲み口が特徴です。しかし芋焼酎独特の甘みや芋の風味はしっかりと残っているので、飲む人を選ばない種類とも言えるでしょう。
黄麹はフルーティー
黄麹は、焼酎ではなく日本酒作りのために生み出された麹です。クエン酸を含まないため雑菌に弱く、腐敗してしまわないように低温管理が必要です。そのため品質管理がやや困難で、かつては九州以外に出回ることはあまりない種類の焼酎でした。
味わいは果物のようなフルーティーさが特徴です。
焼酎に「黒」「白」が多いのはなぜ?
お店に並ぶ芋焼酎を見ていると、「黒」「白」が圧倒的に多いことに気が付きます。その理由には、温暖な九州地方の気候が関係しています。
実は19世紀までは、黄麹を使っての焼酎作りも行われていました。ただし黄麹にはクエン酸が含まれないため雑菌に弱く、次第にクエン酸が豊富で雑菌の繁殖を防ぐことができる黒麹・白麹にとって代わられるようになったのです。
しかし最近では温度管理の技術も発達し、フルーティーで独特な味わいを活かした黄麹の芋焼酎も増えてきています。
おわりに
焼酎作りに欠かせない麹。「黒」「白」「黄」それぞれの特徴が分かると、ある程度の味の予測ができるようになります。自分の好みの焼酎を見つけやすくなったり、誰かに焼酎を贈る時も相手の方にピッタリの焼酎を選べるようになったりと、ますます焼酎の世界が広がることでしょう。酒屋さんでの芋焼酎選びや居酒屋でのオーダー時に、ぜひラベルをチェックしてみてくださいね!
日本酒造組合中央会
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