時代と共に消費されてきたお酒。日常酒としてだけでなく、飲み会や宴会など人とのコミュニケーションの場や、お祭りや季節行事など文化としても「お酒」は古くから親しまれてきました。では、お酒の消費量は伸びているのでしょうか。そして、お酒の中でも焼酎はどうなのでしょう。3回あったといわれる「焼酎ブーム」には、どのような時代背景があったのでしょうか。
お酒全般、本格焼酎の消費量の変化
焼酎、ビール、日本酒(清酒)、リキュールからウイスキー。
お酒全般の消費量はどう変化しているのでしょうか。
昭和45年 4901
昭和50年 5978
昭和55年 6660
昭和60年 7244
(単位:1000キロリットル)
高度成長期を迎えた時代、お酒の消費量は、その時代の流れに合わせてどんどん増えていった様子が見て取れます。しかし、平成に入ると、消費量の伸び率が減っていきます。
平成元年 8540
平成8年 9657
平成10年 9456
平成15年 9120
平成20年 8519
平成25年 8591
平成28年 8412
ピークは、平成8年の9657000キロリットル。
そこからの消費量は減ったり増えたりを繰り返しながら、ゆるやかに減少しています。
本格焼酎に絞って見てみると?
お酒全体の消費量が平成8年から少しずつ減少しているのに対し、本格焼酎(単式蒸留焼酎)の消費量は、少しずつ増えていきます。
平成元年 205
平成8年 286
平成10年 296
平成15年 435
平成19年 540
平成25年 486
平成28年 457
(単位:1000キロリットル)
本格焼酎の消費量のピークは、平成19年の540 キロリットル。
全体の消費量が横ばいになった平成10年頃から、本格焼酎の消費量が一気に増えていることが分かります。
(国税庁:酒のしおり 酒類販売(消費)数量の推移 /平成30年3月公開分参考)
「焼酎ブーム」はいつあった?
では、焼酎ブームにはどのような背景があるのでしょうか。
昭和中期から現在まで、3回あったとされる焼酎ブームについて見ていきましょう。
昭和50年~昭和55年(1970年代後半)
テレビコマーシャルがきっかけになり、「焼酎のお湯割り」が一大ブームになった時期です。
それまで「酒」といえば清酒を指していた時代に、新しい飲み方を提案することで、一気に焼酎の市場が広がりました。
昭和56年~昭和60年(1980年代前半)
「缶酎ハイ」が一世を風靡し、甲類焼酎が飛ぶように売れたブームの時期です。飲みやすい、安いというキーワードと、バブル直前という好景気も相まって、若者を中心に「焼酎を飲む文化」が定着しました。
また、お酒の流通網が拡大し、それまでは地方でのみ飲まれていた銘柄が全国にどんどん出回るようになったのも、ブームの一因でありました。
平成13年~平成17年(2000年代前半)
平成15年(2003年)、本格焼酎ブームがやってきます。
それまでは麦焼酎が中心だった本格焼酎市場に、芋焼酎が参入。主に酎ハイのベースとして認識されていた焼酎が、「味わいながら飲む」といった、大人の飲み物として親しまれるようになったのです。
また日本全体の健康志向も、焼酎ブームに一役買いました。血糖値の上昇を抑える、糖質やプリン体が含まれない……という点が評価され、晩酌のお酒を焼酎にする人が増えていったのです。
平成15年(2003年)の焼酎全体の出荷量は、約50年ぶりに日本酒を上回り、それまでは洋酒一辺倒だったバーやラウンジの「ボトルキープ」のお酒も、焼酎に置き換わることが増えていきます。
蔵元から遠い都会でも、コンビニで24時間、人気の本格焼酎が買えるようになりました。
さらに、伝統的な常圧蒸留だけではなく、減圧蒸留の本格焼酎が普及したことも、ブームに拍車をかけています。
減圧蒸留は低い温度で蒸留するため、クセのないスッキリとした味わい、飲みやすさを実現しました。
そのようなさまざまな時代背景があり、焼酎は多くの方に消費され続けているのです。
お酒の流行りはどう変わる?
本格 焼酎をはじめとするアルコールは、文化の一端を担っています。
特に最近では、種類や銘柄など、その個性を問われる時代になってきています。
ただ安い、おいしいではなく、消費者はブランドストーリーに注目します。そして、いい商品であれば、たとえ価格が高くとも購入しますし、遠方まで足を運びます。
それは、その銘柄の味と一緒に、文化や歴史、感動などを共有したいと思っているからです。
そして、これからますます健康志向は強まっていくでしょう。
「飲酒=不健康」と、単純に決めてしまうことはできません。長い歴史の中で、お酒は私たちに良い影響も及ぼしているからです。
時代はどんどん変わっていきますが、本格焼酎はこれからも、健康というキーワードでも注目を集めていくことでしょう。
おわりに
「若者のお酒離れ」ともいわれる昨今ですが、消費量がガクンと落ちているわけではないようですね。しかし、量の変動には時代背景があることも分かりました。その中で、健康面でも重要な役割を果たし、原料ならではの味わいが選ばれ続けている本格焼酎。これからも、楽しく・おいしく飲んでいきましょう。
日本酒造組合中央会
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