宮崎県の焼酎メーカー7社が2月12日から16日までの5日間、米国での販路拡大を目的にニューヨークを訪れ、市内で各所で連日焼酎イベントを行った。
参加したのは京屋酒造、古澤醸造、小玉醸造、黒木本店、落合酒造場、渡邊酒造場、柳田酒造。参加7社の内、米国での輸入業者があるのは2社で、ほかの5社は輸入業者のリサーチも兼ねていた。各イベントでは、ニューヨーカーに焼酎をストレート、ロック、水割り、お湯割りと様々な飲み方で、香りや味わいの違い、食中酒としてもフードとのペアリングなどを実際に試してもらった。市内各所で行われたイベントを紹介する。
●13日(月):マンハッタン・クリケット・クラブ
アッパー・ウエスト・サイドにあるバー&レストランで、バーテンダーやレストランのビバレージ担当者、ディストリビューター、メディア関係者らを招待して「The Miyazaki Seven」が行われた。宮崎県から河野 俊嗣知事も訪れ、宮崎県を紹介するスライドを交えて河野知事がスピーチを行った。それぞれの蔵の焼酎に合わせて、鶏肉のパテや牡蠣、豚肉料理などとのフード・ペアリングも紹介。芋焼酎に黒ニンニクと昆布の出し汁に柚子を合わせたカクテル「Depth from the Hearth」など各蔵の焼酎を使ったカクテルを7種類紹介、カクテルコーナーは人気だった。参加者のバーテンダー、ディア・パウオールさんは「焼酎を飲むのは今日が初めて。様々なフレーバーがあるので驚いた。お店でカクテルに使えそうな焼酎もあったので試してみたい」と話した。
●14日(火):茶蔵
バレンタインデーの日にはイースト・ビレッジに新しくできたイベント・スペースの茶蔵で「Shochu Brewery Hopping Tasting Event」があった。こちらは一般向けに会費52ドルで行われ、約25人が参加した。宮崎牛のしゃぶしゃぶ、チキン南蛮、冷やし汁など宮崎県の郷土料理と合わせて振舞われた。ダニエル・ディルエンゾーさんは「今日のイベントはとってもいいね!芋焼酎にもいろんな種類があることを知った。とくにジンジャー焼酎が気に入った」。焼酎が大好きで13年間焼酎を飲んでいるというシャテン・カーブさんは麦焼酎と黒糖焼酎が好きだとか。
参加者に焼酎の説明をする蔵元さん
●15日(水):Hearst社
出版、新聞、放送と多岐に渡りビジネスを展開するメディア・コングリマリット、Hearst社の本社カフェテリアで、希望する同社の社員約25人が参加して、焼酎レクチャーと試飲会を行った。この日は、芋焼酎2種類と麦焼酎の3点セットをフードと合わせて紹介。焼酎を飲むのは初めてというリサ・ボディーさんは「焼酎はいろいろなもので割って飲むことができると聞いて興味深い。私は紅茶が好きではないので、今度、紅茶と焼酎で試してみたい」。編集者のマット・アリンさんは「芋と麦を試したが、麦焼酎は食事と合うと思う」と話した。
参加者に焼酎を紹介する蔵元
●16日(木):ブルックリン・キッチン
キッチン用品と食材を扱う店で、店内で始めた料理教室が人気を呼んでいる。この日は米国人で焼酎の普及活動に力を注ぐ、スティーブン・ライマンさんがレクチャー「Get to Know Shochu」を行い、焼酎と日本酒の違いや原料について、韓国のソジュとの違いなどを説明、約20人が参加した。チーズやサラミ、チョコレートなどの食材も用意され、焼酎と合わせての試飲が行われた。焼酎を買って、家でも飲んでいるというビル・リースさんは「アルコール度が42度の焼酎が気に入った」と話していた。陶器と磁器での貯蔵は焼酎作りにどう影響するのかという質問なども参加者からあった。
●12日~16日:でしべる
宮崎焼酎テイスティングメニューの3点セット
宮崎焼酎テイスティングメニューの3点セット
1993年にオープンした「でしべる」はマンハッタンのイースト・ビレッジにある老舗の酒バー。連日若いニューヨーカーで賑わう人気店だ。同店で5日間に渡り「宮崎県焼酎ウィーク」を行った。宮崎県の3種類の焼酎を組み合わせた特別セット・メニューを作り、7社の蔵元が連日交代で「でしべる」に通い客に宮崎県の焼酎を紹介した。蔵元が直接、焼酎を勧めると、日本から来たのかと、試してくれる客も多かった。
5日間のニューヨークでのイベントを終えて、古澤醸造の古澤昌子さんは「今回、ニューヨークの輸入業者にも話しを聞いて、どのように米国で焼酎を売っていったらいいのかということが分かっただけでも手ごたえがあったと思う」と話した。また、柳田酒造の柳田正さんは「試飲会で、どこで買えるのかと聞かれても、米国に入っていないのでは先に進めない、何とかして輸入業者と取引を出来るまでにしたい」と切実な思いを話していた。
ニューヨークにはすでにたくさんの焼酎が入っている。これまでにない特徴のある焼酎でないと市場に入っていくのは難しい。しかしながら、これまでにない、ジャンジャー焼酎やアルコール度数の高い焼酎には人気があった。米国向けに用意したという約40度~44度とアルコール度数の高い焼酎を紹介した蔵もあり、米国向けには米国人の味覚にあった商品開発も必要であろう。
日本酒造組合中央会
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