2018.03.29イベント情報・お知らせ

服部幸應氏インタビュー「本格焼酎・泡盛の特質を活かし、日本の『食』とともに世界へ!」

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東京オリンピック・パラリンピックを控え、和食が世界からますます注目を集めるなかで本格焼酎・泡盛をどうPRすべきか、「和食」のユネスコ無形文化遺産登録にも尽力されてきた功労者でもあり、長年に渡り「食育」の必要性を説いて教育現場に浸透させてきた服部氏にお話を伺いました。

【写真】レシピコンテストの総評を語る服部先生

 

 

 

【服部 幸應(はっとり・ゆきお)氏プロフィール】

東京都生まれ。立教大学卒業・昭和大学医学部博士課程修了。医学博士。学校法人服部学園 服部栄養専門学校 理事長・校長。農林水産省日本食普及の親善大使。藍綬褒章、厚生大臣表彰・文部大臣表彰受賞。フランス政府より国家功労勲章シュヴァリエ章・農事功労勲章オフィシエ章を受章。(公社)全国調理師養成施設協会会長、(一社)全国栄養士養成施設協会常任理事、東日本料理学校協会会長、NPO日本食育インストラクター協会理事長ほか数々の要職を務める。「食育」の発案者・推進者でもある。農林水産省:食育推進評価専門委員会座長。『食育の本—「食育」のすべてがわかる!』『食育力』『世界の六大料理基本事典』など、著書多数。

 

お酒を料理に用いることの大切さ

かねてより「酒と料理の組み合わせ」で和食を普及させることが大切だと考えています。

一昨年から日本酒造組合中央会が主催する『本格焼酎と泡盛に合うレシピコンテスト』で審査員を務めていますが、初めは本格焼酎・泡盛を使ったレシピが少ないことに驚きました。講評でそれを話したので、翌年からは少し増えてきましたね。

 

調理に本格焼酎・泡盛を効果的に使うことで食材の生臭さを抑え柔らかくできるだけでなく、料理のグレードが上がり、酒とのマッチングもしやすくなります。塩加減についても分量だけでなく、塩を打つタイミングが火を通す前か後かでも味わいが大きく変わってくるので、もっと研究してほしいですね。

 

最近の若者は料理にあまり酒を使わなくなっています。使うことが身に付いていない。使うところを見ていないからです。

昔は数世代が一緒に食事を作り食膳を囲む中で、上の世代から下の世代へ調理法や礼儀作法などが自然と受け継がれていました。現代はライフスタイルの変化で個食化が進んでしまい、地域や家庭で育まれてきた食文化が伝承されにくくなっている。大変なことになっていると思っています。

 

「食文化」、初めて法に明記!

『和食:日本人の伝統的な食文化』が2013年にユネスコ無形文化遺産に登録され、世界の有名シェフが和の食材や調理法を取り入れ、日本の食文化が世界で評価される一方で、日本の法律に「食文化」が文化として明記されていませんでした。

 

 

そこで三國清三シェフ、村田吉弘店主らと「『食』を文化に!」検討委員会を立ち上げ、28団体が参加し、法に盛り込むよう働きかけた結果、2017年、文化芸術基本法に「食文化」が加えられ、明記されました。食に携わる仕事が、努力すれば国から顕彰される、やりがいある仕事に位置付けることにも繋がります。

 

世界の食大国と言われる国は自国の食文化を大切にし、政府機関を挙げて発信しています。今後も官民一体の、料理人の地位や意識を向上させる活動や、食文化の情報発信により一層取り組んでいきたいです。

【写真】「『食』を文化に!」検討委員会総会での鏡開き(写真提供:服部学園)

 

本格焼酎・泡盛を世界に届けるには

長年世界で和酒と和食のPRに取り組んできましたが、海外へ販路を拡大するには、「良いものを作って売る」精神だけでは無理。

英国のあるウイスキーメーカーは日本の規格に合わせて720mlを販売し、日本でのシェアを伸ばしました。こちらも海外の流通に合わせて750mlや500ml瓶で売り込むなど、戦略が必要です。ブランド化が不可欠で、スーパーを目指すな!です。最高級の百貨店を目指すべきです。

 

世界に11万8000軒ある日本食のレストランの9割は寿司屋で、他にはお好み焼きや焼きそばなど、粉物の人気が高い。共通項は、シャリやソースに砂糖を使っていることです。西洋料理は基本的に味付けに砂糖を使わないのです。コースの最後に甘いデセールをいただいてホッとした気持ちになるわけで、それまでは緊張感の中で味わっている。甘みのある日本食は、食事の始めからリラックスできるため人気があるのです。

 

近年、海外でも本格焼酎・泡盛に関心が出てきていると感じます。甘みを生かした九州の郷土料理と共に発展してきた焼酎は、海外で人気の甘い日本食にもよく合う。口をさっぱりとさせてくれて食が進みます。ウィスキーやウォッカなど度数の高い蒸留酒が好まれる地域では、大いにポテンシャルがあるでしょうね。

 

2020年の東京オリンピックは、日本の食文化を発信する絶好の機会。先ずは日本人がその美味しさに目覚めることです。そうすれば、外国人へ感動を伝えることができます。

本格焼酎・泡盛では芋・麦・米・黒糖など原料ごとの特徴を押し出して、風味を比べて楽しむ飲み方や、焼酎・泡盛を使った料理のレシピ集を作り、焼酎・泡盛の風味と料理とのマッチングを楽しむ食文化を浸透させる。その次に、レシピの翻訳版を作ればいいのではないでしょうか。

 

■和食とは?■

『和食:日本人の伝統的な食文化』のユネスコ無形文化遺産登録の申請提案書より、和食の4つの特徴

1.多様で新鮮な食材とその持ち味を尊重

2.栄養バランスに優れた、健康的な食生活

3.自然の美しさや季節の移ろいを表現

4.正月などの年中行事との関わり[農林水産省]

 

「こうしてみると、「和食」は単に料理の種類やジャンルを指す言葉ではなく、日本人の食にかかわる慣習や文化そのものの総称であることがわかります。」「自然の素材を活かす調理法や一汁三菜という食の組み合わせ、箸運びやふるまいなどのマナー、年中行事などの「習わし」にも、自然を尊ぶ心や、それを活かして健康に、幸せに生きるための知恵と工夫が込められています。」

服部先生著書『食育力』より抜粋

 

 

 

■ユネスコ無形文化遺産登録■

芸能や伝統工芸技術など、形がなく土地の歴史や生活風習などと密接に関わっている無形文化遺産を保護し、相互に尊重する機運を高めるための登録制度。

 

 

 

 

 

【写真】ユネスコ無形文化遺産登録時の和食紹介英語版リーフレット

 

■海外の食のユネスコ無形文化遺産■

■フランスの美食術:2010年

■地中海料理(スペイン・ギリシャ・イタリア・モロッコ):2010年

■メキシコの伝統料理:2010年

■ケシケキの伝統(トルコ):2011年

■キムチとキムジャン文化(韓国):2013年

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